追川教授のつぶやき Prof. Oikawa's murmur.

 なんの因果かな、よくわからないけれど、いつの間にやら教授なんてのに祭り上げられちゃって、週に1度、無理矢理に押し付けられた授業をこなしているわけ。
 と、いっても何も雑な講義をしているではないよ。折角、決して安くはない授業料を支払って聴講してくれているのだから、それに見合うぐらいの話をしたいと思っている。できることならば、授業なんて放り出して――たとえ90分でも研究に没頭していたいけれど、やっぱり、そういうのって僕の権利であり義務であるんだよね。
 こう見えても僕ってば、意外に真面目なんだな。いや、しかし、ヤクザな仕事だと思うよ、教授なんてさ。


 最近ね。よく小説やマンガを読むんだ。一応曲がりなりにも、こだわりっていうのがあって、若い作家の作品しか読まないことにしている。別に年寄りや中年の作家がダメというわけではないけれど、やっぱり若い作家というのは、何かしらエネルギィを与えてくれる気がするんだ。
 でも、映画やドラマはダメだ。あれはよくないよ。何しろ動きを視覚的に表現しちゃうんだから。イマジネーションが育たないと思うんだな。そういっちゃうとマンガなんて微妙なラインだけれど、コマとコマの繋がりを見て、動きを想像するじゃん。だから、まだマシ。だからといって、僕が映画を見ないというわけではないから。原作のほうが面白いなんてのは、そういった理由や何かかなと思う。感性なんてヒト其々だからね。僕も基本的には原作のほうが好きといったタイプの人間だ。


 よく、「最近の若いやつは…」なんていう大人がいるけれど、あれこそ、「最近の古いやつは…」だよ。そもそも他人に説教垂れるだけの頭があるのかい?と疑問でならないよ。まったくわかってないんだよね、ああいうオトナは。


あ、もう寝る時間だ。
生徒は春休みに入ったけれど、僕はまだ3学期があるからね。