夕日も、もう見えなくなってしまった

ジャパンビヴァレッヂのような自販機でコーヒーを買った。
とびきり熱くて、濃くて、苦いやつがよかった。
コイン1枚と交換できるコーヒーに、旨さなんて大それたものは望んでやしなかったし、熱ければよかった。
それだけあれば少しは気合いも入るだろうし、落ち着きもすると思った。
コトリ、とカップが落ちて、まるで小便小僧が中にいるかのように注がれた。


そっと手を伸ばして、なみなみと黒い液体に満ちた其れを捕える。
これで5分ほどは落ち着けるだろう、そう思い、カップに口を付けた。


けれど、
砂糖が入っていた。
ヘドが出るほどに不味い。
砂糖の入ったコーヒーほど嫌いなものはない。
偽善者のほうがよっぽど愛おしく感じる。


こいつの所為だとばかりに中身をぶち撒け、辺りの椅子を蹴り上げた。
少しだけ、すうっとしたけれど、ヒトやモノの所為にしないと、こんなチンケな椅子一つですら蹴り上げることができないのかと思い、ひどく情けなくなった。